鱒レンジャーでの手巻きワカサギ釣りも十分楽しいのですが、近くで電動リールでウィンウィンやられると「電動リールでの釣りも面白そうだな」と感じてしまいます。また、ドーム船での釣りもしてみたいなという想いもあるのですが、鱒レンジャーですと竿の長さがNGとなってしまうため、短竿の用意は必須となります。
『じゃ、作っちゃえばいいじゃん!』
ということで、3Dプリンタを使ってワカサギ釣り用の電動リールを作ってみることにしました。
求める機能は以下の3つです
①電動による巻き上げ(これが主目的!)
②船べり停止機能の搭載(穂先やモータの保護)
③できるだけシンプルな回路・構造(複雑だと作るのが面倒)
①の動力となるモータは入手性と大きさからマブチの130モータ辺りが妥当かなと。モータの仕様をマブチのWebサイトで確認すると、入力電圧は1.5~3.0V、1.5V時の適正負荷時の回転数が6,500rpmとのことです。
ミシンのボビンくらいの大きさのスプール(中心軸の直径が10mm位?)を直結で使用すると仮定すると、10mm * 3.14 * 6500rpm = 204,100mm/minの巻き取りスピードになります。m/secに直すと3.4m/sec。速すぎです。
鱒レンジャーにバルケッタFカスタムを使用してワカサギ釣りをした際、リールに表示される巻き上げスピードが2(0.4~0.6m/sec)と3(0.6~0.8m/sec)を行き来する位がちょうどいい感じがしていましたので、その辺りの巻き取りスピードを目指すようにモータを減速させたいと思います。電圧で減速させるのは回路が複雑になるので、ギヤまたはプーリーで1/5くらいに減速させるのが良いかなと。
また、モータの適正負荷も4gf・cmということですので、ギヤまたはプーリーで減速させるとトルクも増えるので問題ないのかなと感じています。
②の船べり停止機能はダイワのリールのようにレバー(スイッチ)を物理的に動かすことでモータの動きを止めるのが一番簡単な方法かなと。過去の工作で余っていたタミヤのマイクロスイッチがあるのでそれを使いたいと思います。スペックがDC30V 0.5Aなので大丈夫でしょう。
マイクロスイッチで電気を遮断したとしても、モータはすぐに止まらず慣性で若干モータが回ってしまいます。ライン(釣り糸)に負荷が掛かってしまいますので、ブレーキが掛かるのが理想かなと。なので、船べり停止の際に、モータがショートブレーキされるようにします。
③の回路は電池-モータ間の回路を遮断という方法でものすごくシンプルなのですが、仕掛けを落とすためにスプールをフリーにしたり、巻き上げ時にスプールとモータを繋ぐという機構(スピニングリールのベール上げ下ろし、両軸のクラッチOFF/ONに相当する機構)をどう実現するかにすごく悩みました。車のクラッチみたいな構造だと超複雑だし…
ミシンのボビンに棒を通しながら色々考えていたら、とてもシンプルな方法で実現する方法を思いつきました。シマノやPROXのようなスプールが縦方向では実現が難しいですが、ダイワのような水平スプールならスプールの重力が掛かっているときは動力と接続状態、逆さまにしたらフリーになるという感じならものすごく簡単そうです。この方式は、モータの軸とスプールの軸が90°変換されている構造(スプールが縦、モータが水平)だとモータとスプール間の摩擦を維持させつつ重力で動力を切断するのが難しい感じですが、モータとスプールの軸が並行ならものすごく簡単です。減速で使用するギヤやプーリーに突起を設ければ良いだけです。
求める機能が決まれば、あとはそれを実現させるだけです。
手持ちの部材と相談しながら、3D CADで図面を書いていきます。減速はピニオンギアでやろうかと思いましたが、適したギアが手持に見つからず。なのでOリングを利用したプーリー方式にします。
個々の部品を出力して組み合わせて…と試行錯誤した結果、
何とか完成にこぎ着けました。
寸法ミスったりでかなりの量のPLAフィラメントを無駄にしながらですが(泣)
あと、穂先が生きている破損した延べ竿も発掘したので、勢い余って竿も作りました。ガイドもステンレス線曲げての自作です。ガイド用のスレッドの在庫がある筈なのですが見つからず、ミシン糸で巻いてみましたが毛羽立ちが酷くてダメですね。コーティングは王道のエポキシを使わずソフトタイプのレジンを試してみました。
写真のたたき台はクラッシックギターをやっていた父が捨てるというので貰った足台です。
リールの重量は電池抜きで90グラムでした。D社のクリ◯ティア AIRは越えられなかったか。残念。なお、電池は寒さの影響を受けないようにニッケル水素電池を使用する予定です。
今週末に実戦投入予定ですので、そこで使い物になるかどうか試されます。
ものすごく楽しみです。